輪廻を続かせる原因
涅槃から遠のき輪廻を続かせる法は何かといえば渇愛(貪)と慢だけでなく見(邪見)も含まれます。
カンダワッガサンユッタ、アッタディーパワッガ、サマヌパッサナー経の註釈によると、この貪、慢、見という三つの法が輪廻を続かせると述べられています。
この三つは8つの貪根心に含まれる心所です。
貪心所は8つ全てに含まれ
見心所は邪見を伴う貪根心4に含まれ
慢は邪見を伴わない貪根心4に含まれます。
ですから三つまとめてしまえば渇愛(貪)ということもできます。
また別のお経では、渇愛を犬をつないでいるロープに例えています。
凡夫の有情はロープのつながれている犬に例えられ
凡夫が大変執着する五蘊(色受想行識)を、ロープを縛っている柱に例えています。
犬を柱にロープで繋いでいるとロープの長さしか移動できません。
柱の周りを回ったり、後は寝ころぶしかありません。
柱にしっかりと繋いであるので幾ら引っ張っても逃げることはできません。
凡夫である有情も渇愛というロープで縛られているので柱という五蘊から自由になることはできません。
欲界、色界、無色界などの世界を回り続け、五蘊から自由になった涅槃を体験できません。
経典の例えとはずれますがロープが長ければそれなりに自由ではと思うかもしれません(笑)
しかし、下手に長いとそれに満足しロープのない自由な状態を望まなくなる可能性が高くなります。
敵を敵と知る
今まで輪廻を続かせる原因を見てきましたが、それは布施、持戒、冥想実践ではありません。
渇愛が原因です。
渇愛という貪心所です。
輪廻を続かせ涅槃を体験するのを邪魔する苦しみの原因である貪という敵を向かい撃つ道具が必要です。
しかし、その前に渇愛という敵を本当に敵だと思っているでしょうか?
友達だと思っている人もいるかもしれません。
敵である渇愛も表に出ていれば見つけやすいのですが、スパイのように潜伏活動を行っている場合もあります。
渇愛随眠煩悩です。機会があれば表に出てきて破壊活動を行います。
つづく